昭和百年、ドラマを超えた?ジェームス三木の「春の歩み」、長嶋茂雄という「巨星墜つ」の陰で転落していた大投手 2025(令和7)年その2【連載:死の百年史1921-2020】番外編(宝泉薫)
連載:死の百年史1921-2020 【番外編】2025(令和7)年その2

そんな名曲たちが時代を伴奏するなか、スポーツでファンを熱狂させたレジェンドたちもこの世から退場していった。
野球の長嶋茂雄(享年89)にサッカーの釜本邦茂(享年81)、ゴルフの尾崎将司(享年78)。自分はこの三つの競技のなかでは野球に思い入れがあるので、長嶋以外の野球人の死についても考えさせられた。
現役時代は名遊撃手で鳴らし、監督としては阪神を初の日本一にした吉田義男(享年91)や、プロ野球歴代3位の320勝をあげた大投手・小山正明(享年90)、さらには中日などで主砲を務めたトニ・ブランコ(享年44)が故郷・ドミニカのナイトクラブ天井崩落事故に巻き込まれ、急死したことにも驚かされた。
しかし、国民的ヒーローだった長嶋に比べたら、訃報の扱いは小さい。ブランコはともかく、吉田や小山は長嶋と直接戦っていたことを思うと、その最期まで陰に隠れてしまったみたいでちょっと不憫だ。
ただ、それよりももっと不憫なニュースに、遭遇することにもなった。訃報ではなく、逮捕の知らせだ。
小山正明より勝った投手はふたりしかおらず、ひとりは400勝の金田正一(故人)でもうひとりが350勝の米田哲也(現在87歳)。その米田が、昨年3月に窃盗事件を起こしていた。
窃盗といっても、スーパーマーケットで缶チューハイ2本(303円分)を万引き、というもの。近年は貧困にあえぎ、月5万円の家賃も払えずに、約500万円を滞納中だとも報じられた。今の日本は空前の長寿化が進み、永すぎる老後をどうしのぐかが課題になっている。酒も女も大好きな豪傑肌だった米田は昔なら太く短く人生を完結できたかもしれないが、最近はそうもいかないのだ。
そんな「永すぎる老後」の難しさは、長嶋茂雄についてもいえる。2004年に脳梗塞で倒れて以降、体調が元に戻ることはなかった。「元気」の象徴みたいな人だっただけに、不憫に感じていた人も多いのではないか。
とはいえ、意外なかたちで貢献もしていたという話が、医療の世界から聞こえてきた。脳梗塞などで倒れたあとのリハビリが上手くいかず、治療者に文句を言う人は少なくないが「長嶋さんでも完全には戻らないでしょ」と諭すとだいたい大人しくなる、とのことだった。
なお、日本野球機構は今年から「長嶋茂雄賞」を設けることにした。日本レコード大賞における「美空ひばり賞(のち、美空ひばりメモリアル選奨)」を思い出すが、こちらは12年で消滅している。野球界には、80年近く続いている「沢村栄治賞」もあるので長持ちするだろうか。
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